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日本橋の「西村画廊」で、9人の作家によるグループ展「SUMMER SHOW 25」が開催。舟越桂、押江千衣子、小林孝亘、曽谷朝絵、細江英公、デイヴィッド・ホックニー(David Hockney)、町田久美、三沢厚彦、ブリジット・ライリー(Bridget Riley)の近作、新作を中心におよそ20点の作品を紹介する。
会場では、2024年3月に逝去した舟越の静寂で凛(りん)とした彫刻をはじめ、同じく9月に世を去った細江による三島由紀夫を耽美(たんび)的に撮り下ろしたオールドプリント、ライリーの白黒2色が交歓しながらたゆたう版画などが並ぶ。
また、ホックニーの1980年代のフォトコラージュ作品、町田のキャリア初期のペインティング、三沢の猫の木彫とドローイングなども展示している。ぜひ気軽に足を運んでほしい。
※10時30分〜18時30分/休館日は日・月曜・祝日/入場は無料
表参道の「GYRE GALLERY」で、「創造と破壊の閃光」が開催。人格と行動が芸術と一体化しているといえるほど芸術に人生をささげてきた草間彌生と、3人の現代アーティストによるダイアローグ展だ。
絵画、彫刻、デザイン、ファッション、パフォーマンス、映画、小説など多様な分野で活躍してきた草間。現在も人間存在の本質的な主題に取り組み、生命の謳歌(おうか)を世界に向けて発信し続けている。
本展の草間と対話相手となる作家は、戦争経験をした草間と戦後高度経済成長による大量消費社会であった時代や精神を共有した三島喜美代。また、光と闇・生と死・自己消滅の草間の世界観と、谷原菜摘子の世界観「自身の負の記憶と人間の闇を混淆(こんこう)した美」が交錯する。
そして、種苗業を営む旧家に生まれた草間の自然観と通底する、坂上チユキのくさび形文字のような無数の形が一つの宇宙を形成する作品だ。
作品を通じた対話を垣間見てほしい。
※11〜20時/入場は無料
企画:飯田高誉(スクールデレック芸術社会学研究所所長)©YAYOI KUSAMA
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スタジオジブリ作品の魅力に迫る展覧会「ジブリの立体造型物展」が、天王洲の「寺田倉庫 B&C HALL/E HALL」で開催。2003年に始まった本格的なスタジオジブリ展の原点である「立体造型物展」が、進化を遂げて22年ぶりに東京に帰ってくる。
今、世界中で観られているスタジオジブリ作品。その背景には、長い時間をかけて届けようとした人々がそれぞれの国や地域にいた。
本展では、「海を渡った熱風」をテーマに、海外のパートナーたちがどのように作品を届けていったのかをたどる。併せて、『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』など、数々の映画からの名場面が立体造型物となって展示される。
注目は、『紅の豚』に登場する飛行艇「サボイアS.21」。「もしも本当にあったら」という想定で作られる迫力満点の飛行艇は、今にも飛び立ちそうに見えるだろう。
また、 宮﨑駿がかつて「三鷹の森ジブリ美術館」の企画展示用に制作した短編アニメーション『空想の空とぶ機械達』が特別上映。大空に憧れた人々がかつて空想した「空とぶ機械たち」を描く。さらに、会場隣接の水上施設「T-LOTUS M」では、『崖の上のポニョ』に出てくる「あのハム入りラーメン」が味わえる。
ジブリの世界に飛び込める本展。帰り道は、きっとジブリ作品が観たくなっているだろう。
※9時30分~20時(5月27日は15~20時)/入館は閉館の1時間前まで/料金は1,900円、高校・中学生1,600円、小学生1,200円、未就学児無料
「上野の森美術館」で、美人画、役者絵、風景画などの各分野で、浮世絵の頂点を極めた5人の絵師を紹介する展覧会が開催。「浮世絵5大スター」である喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳の代表作を中心に、約140点が一堂に会する。
歌麿は、女性の理想像を追求しながら色香を見事に表現し、写楽は役者の演技の一瞬を劇的に捉えた役者絵で人気を博した。
また、『冨嶽三十六景』をはじめ、風景・花鳥・人物と森羅万象を描き続けた北斎。そして、広重は江戸後期の浮世絵に新風を吹き込んだ風景画を描き、国芳は豊かな発想力と斬新なデザインで武者絵の世界を切り抜いた。
江戸時代を彩った彼らの豪華な競演。じっくりと堪能してほしい。
※10〜17時(入館は16時30分まで)/料金は前売り1,800円、学生1,300円、小・中学生600円/当日2,000円、学生1,500円、小・中学生800円、未就学児無料
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「Akio Nagasawa Gallery Ginza」で、宝石や水晶、鉱物を軸に、立体作品や絵画を制作する福王寺朱美による個展「FUTURE ZEN」が開催。2021年に発表された「FUTURE ZEN」シリーズから、ペインティングと立体作品を展示する。
宝石商の父の遺志を継ぎ、1980年から宝石鑑定士をしながら、日本画家の福王寺一彦のアシスタントとして美術界に関わった福王寺。1997年にはジュエリーブランド「AHKAH」を創業、2018年にはAHKAHがTASAKIグループに入り、2021年に美術家としてデビューする。
本シリーズは、複雑化する社会や加速度的に膨張する情報の渦中で、人々が見失いがちな自己の内奥に息づく静けさへとまなざしを向けるもの。福王寺は「鑑賞者がその内なる平穏に触れ、自らの存在の根に立ち返ることで目醒め、それぞれの未来が輝いてゆく契機となることを願っている」(原文ママ)と語る。
立体と平面、両面から展開されるそのビジョンが示す、作家ならではの「禅」の形を体感してほしい。
※11~19時(土曜は13~14時閉場)/休館日は日・月曜・祝日/入場は無料
横浜駅東口のショッピングモール「横浜ベイクォーター」の屋上庭園「ベイガーデン」で、ライトアップイベント「横浜ランタンナイト」が開催。ランタンの光とアオザイの彩りを感じる、夏の風物詩イベントだ。
空間演出にこだわった会場では、ベトナムの古都・ホイアンから取り寄せた色とりどりのランタンが華やかに彩る。昼は色鮮やかに、17時からは温かな光を灯し、幻想的なホイアン旧市街の街並みを再現する。
また、ランタン売りの屋台をイメージしたフォトスポットなども登場。さらに、ベトナムへの往復航空券が当たる抽選会や、伝統衣装「アオザイ」を着て撮影やショッピングが楽しめるイベントなどの多彩な企画が満載だ。
なお、イベント内で得た収益の一部は、ベトナムの困難な環境にある子どもたちへの支援活動に寄付される。異国情緒漂う空間として洗練された「横浜のホイアン」へと足を運ぼう。
※10〜22時/入場は無料
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イギリスのサフォークを拠点に活動し、国内でも高い人気を誇るライアン・ガンダー(Ryan Gander)の個展が、箱根の「ポーラ美術館」で開催。日本初公開の最新作を含め、館内のさまざまなスペースで、全18点におよぶ作品の数々を紹介する。
日常の中に潜む物語や多層的な意味を、知的な遊び心と鋭いユーモアを交えながら表現するガンダー。人間の言葉を話すカエル、読めない時計や仮想の国旗、ある兄弟の偽りの歴史など、作品は極めて具体的でありながら、捉えどころのない神秘に満ちている。
「アートの目的はコミュニケーションではなく、触媒として曖昧さを提供すること」と作家が語るように、作品の意味は固定されていなく、解釈と連想のプロセスによって、新たな物語が創造される。
見どころは、家族とともに生み出された作品の数々。ガンダーの子どもたちの声が作品に使用されていたり、ガンダーの父親による手書き文字が描かれていたりする。
また、ガンダーが生み出した新たな動物たちにも注目だ。館内のさまざまな場所にすみついた、不思議な動物たちを探しに行ってほしい。
※9~17時(入館は16時30分まで)/料金は2,200円、学生1,700円、中学生以下無料
クィアカルチャーへのまなざしを軸に、アートとファッションをはじめ、多様なカルチャーを横断的に探求する台湾発の気鋭のフォトグラファーでアーティストの、マンボウ・キー(登曼波)による個展が開催。写真、映像、音楽といった表現を用いて、制作活動を行うキーの全てを総覧する。
思春期、父が秘蔵していた自撮りのセックステープを偶然発見したキー。この体験を契機として、自身のアイデンティティーおよび家族関係の深層に迫る探求を開始した。2019年には、アジアで初めて同性婚が合法化された台湾で、代表作『Father’s Videotape』を発表する。
本展は、父から譲り受けた50本以上のビデオテープの中から見つけた、「居家娛樂」という言葉を出発点に構成。テープは、1980年代から2000年代にかけての父親の性、娯楽、旅、そして「大陸の夢」を記録したもので、私的記録にとどまらず「誰かに見せること」を意図していた。
キーは、これらのビデオテープを客観的な視点と介入の視点を交え、時代背景を解体。そして現代を交差させ、家族、ジェンダー、セクシュアリティー、クィアアイデンティティーといった、個人的かつ社会的なテーマを探求している。
さらに、ファッションフォトグラファーとして「Vogue Taiwan」や「Marie Claire」などで撮り下ろしてきた作品の発表のほか、日本初となる写真集も刊行予定だ。
なお、LGBTQ+コミュニティーをたたえ、差別や偏見のない社会を築くことを目指した啓発活動とイベントの期間である「グローバルプライド月間」として、入場は無料。ぜひ訪れてほしい。
※11〜21時(6月9日は18時まで)/入館は閉館の30分前まで/入場は無料
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「小山登美夫ギャラリー京橋」で、柏原由佳の個展「Changing in the Light – 光のなかで変わる」が開催。「やんばるアートフェスティバル2024-2025 山原本然」での出展作と、その後描いた最新作を発表する。
海や大地、自然の根源的なエネルギーを、透明感ある色彩により鮮やかに表現する柏原。作品には人間も動物も登場しないが、作家独自の視点を通すと気配や空気、光といった見えない何かの生命力が映し出されているようだ。異次元を垣間見たような不思議なパワーとざわめきを感じるだろう。
2025年、柏原は沖縄のさまざまな場所でスケッチをし、感じた記憶を頼りに3カ月間の滞在制作をした。そこで、原始の記憶と自分の内側の景色と、認識できていなかったもう片側の世界がつながり、光が差し、新しい世界が開いていくような衝撃的な体験をしたという。
柏原はこの経験により、心のままに描き、情報や常識に捉われない自分の感じる「見えない美しさ」を表現するようになった。自分は何者なのか、何のために生きるのかを知るために絵を描く。
柏原の熱く真摯(しんし)な姿勢は、自己の存在・思考・意識・周りのもの・人・環境・自然を新たな視点で捉え直すきっかけを与えてくれるだろう。
※11〜19時/休館日は日・月曜・祝日/入場は無料
「Akio Nagasawa Gallery Aoyama」で、イタリア・ベネチアを拠点にする現代美術作家、小池健輔の個展が開催される。
国際的に高い評価を受けている小池は、世界各地で展覧会を開催。写真や絵はがきといったビンテージ素材を用い、「何も加えず、何も取り除かず(No More, No Less)」という哲学の下、カットと再構成のみで新たなイメージを生み出す独自のコラージュ作品を制作する。
本展では、これまで⻄洋の古写真を使用してきた小池が、初の試みとして、日本の明治期の古写真を素材に新たに制作した作品を発表。緻密で詩的な作品は、視覚の錯覚と現実の境界を問い直し、既存の記憶やイメージに新たな物語を与えるだろう。
※11〜13時、14〜19時/休館日は日〜水曜・祝日(5月28日は開館)/入場は無料
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